恋の罠 *- 先輩の甘い誘惑 -*
成績よし。顔よし。スタイルよし。
おまけに思わず触りたくなる柔らかそうなさらさらヘアーとか。
性格があれでもモテるってことは、結局、人は見かけが大事なんだなーなんて呆れる。
……別に性格とか知らないけど。
実際先輩の性格がどんなだかは知らないけど、そこは悪くあって欲しいっていう勝手な願い。
狭い幅の階段で、なるべく顔を見ないようにすれ違った時、先輩の声に止められた。
「朱莉」
抵抗しても無駄だって学習したあたしは、諦めて素直に振り向く。
と、いきなり顔をのぞき込まれて……。
「っ……な、に……?」
「……うん。可愛いから残念なんだけど……、アウトかな」
意味が分からなくて顔をしかめると、先輩が微笑む。
「この唇」
その言葉と同時に、先輩の親指があたしの唇をなぞって……、身体がすくんだ。