恋の罠 *- 先輩の甘い誘惑 -*
「セクハラ? 風紀の一貫だよ。
こんな事で赤くなっちゃって……。可愛いね、朱莉」
まるで何もなかったみたいにいつも通りの笑顔で微笑んだ先輩が、階段を上がる。
その背中を、震える瞳で睨みつけた。
華奢に見えるのに、しっかりした背中を見てると、いつかの仁美の言葉を思い出す。
『腹筋割れてるよ』
割れてるって……、筋トレでもしてんのかな。
あの涼しそうな顔で?
……想像できないけど。
相沢先輩って……、なんかホントにどこまでも隙がない。
そんな先輩の後ろ姿を見つめていると、自然と諦めに近いため息が落ちた。
ため息が唇をかすめていって、また頬が熱くなる。
先輩に触られた唇……。
そこが、少しだけ熱を持ってる……。