恋の罠 *- 先輩の甘い誘惑 -*
『可愛い』
頭から離れようとしない先輩の言葉が、高鳴った胸を後押しする。
ドキドキがなかなか止まらないのが、悔しくて仕方ない。
「やばいね、あれ。
無意識だか意識してんだか分かんないけど、女を落とす方法を知り尽くしてる感じ……。
っていうか、あんなカッコいい顔してあんなキザなセリフとか……、絶対やばいって」
隣を見ると、仁美も頬を赤くしていて、ホっとする。
自分の反応が特別じゃないって、安心して。
実はちょっとだけ、変な感情からくるドキドキだったらどうしようって心配だったから。
だって、こうも毎日意図的にドキドキさせられっぱなしだと、不意打ちされてドキっとしてるだけなのに、別のドキドキに勘違いしちゃいそうだったから。