恋の罠 *- 先輩の甘い誘惑 -*
「朱莉? どうかした?」
「あ、ううん」
さっきまで赤い顔してた仁美は、すっかりいつも通りの顔色に戻ってる。
それに比べてあたしの顔はまだまだ熱いし、跳ね上がった心拍数だってまだまだ戻りそうもない。
……。
でもそれはほら、あたしは直接毒を吸い込んだけど、仁美は間接的だったし。
そう。そういう事。
変な感情からじゃない。
……そうであって欲しい。
そうでなきゃ……、困る。
「大体、変な感情って、別に好意的な感情じゃないかもしれないし。“変”と“恋”って漢字が似てるってだけで過剰反応しちゃうけど、決してそういうのじゃ……」
「独り言にしちゃ大声すぎるんだけど」
「……すみません」