恋の罠 *- 先輩の甘い誘惑 -*
手持ち無沙汰になって、自分の唇に軽く触れる。
お弁当の後、自分のついでにって仁美に塗られたピンクのグロスの乗った唇。
こんなの相沢先輩に見られたら、またからかわれると思ったけど、『可愛い』とかおだてられるままについつい……。
……それにしても。
「もー……、なんなの、一体……、」
仁美、何やってんだろ。
不満を漏らしながら図書室の古い机に突っ伏して、ため息をついた時だった。
…―――ガラ…。
図書室の古いドアが開く音が広い部屋に響いた。
「仁美っ! 何企んでんの?
図書室に1人でいるのとかって、ちょっと怖…」
仁美だって信じ切って顔を上げた。
けど、ドアを開けたのは仁美じゃなくて……。
さーっと血の気が引いていくのが分かった。