恋の罠 *- 先輩の甘い誘惑 -*
昼休みのB棟は、恐ろしいほどに静まり返っている。
お互いの立てる物音以外はしなくて。
2人きりっていう状況にただでさえ緊張してるのに、それに拍車をかける。
「いえ、それ、あたしじゃないです。人違いです」
目を逸らしながら立ち上がってドアに向かうと、後ろから先輩の声が追ってきた。
「あ、鍵かかってるよ。
俺がここに入った後、大野さんが外から鍵かけてたから」
「は?!」
「はめられたね」
「……は?!」
口を開けたまま何も言えなくなったあたしを見て、先輩がクスクスと笑う。
っていうか、自分だって同じ境遇だし笑ってる場合じゃないくせに……っ。
「そんなところに立ってても仕方ないから、とりあえず座ったら?」
自分の隣の椅子を引きながら微笑む先輩に、首を振る。