恋の罠 *- 先輩の甘い誘惑 -*
話が終わるのを待たずに、強い口調で遮った。
けど、先輩の言葉の続きが、勝手に頭の中で予想される。
『運悪くドアのガラス部分に突っ込んだらしくて、』
きっと……、きっと血だらけの霊が、今もまだこの図書室に―――……っ。
先輩が図書室に入ってきた時なんか比べ物にならないくらい、血の気が引いてく。
そのくせ、心臓だけはイヤなテンポでドキドキして気持ち悪い。
ホント、最悪だ……。
お化け屋敷にも怖くて入れないのに、なんでこんな目に……。
さっきまで、ドアを破壊してでもこの教室から出ようとしてたのに……。
あと3メートルくらいに近づいた図書室のドアはもう、恐怖の対象以外何者でもなかった。
なんの変哲もない普通のドアなのに……。
先輩の話を聞いた途端に、なんだか変なオーラを出しているように思えてきて……。