恋の罠 *- 先輩の甘い誘惑 -*
繋がれた手の優しさ
「あたし……っ、別に怖いとかじゃないですからっ!
ただ、やっぱり公共の物を壊すのはどうかと思っただけで……」
先輩を一度も見ずに言うと、先輩がふっと笑ったのが分かった。
「同感。学校の物を壊すのはよくない。
それに、朱莉の体に傷でもついたら大変だしね」
先輩の発言はちょっと気になったけど、頭の中はいるかも分からない幽霊の事でいっぱいだった。
本棚の影とか、部屋の奥に嫌な気配を感じる気がして、机に落とした視線を上げる事すらできない。
……いるはずない。
絶対いるはずないからっ! そんな非科学的なモノ……。
このご時世にいるわけがないっ!
ないないないっ!!
……やばい。
怖い……。