恋の罠 *- 先輩の甘い誘惑 -*
「朱莉?」
「は、はぃっ?!」
緊張のあまり……、というよりは、恐怖のあまり思わず高い声を上げると、先輩が驚いた顔をする。
「どうかした? 泣きそうな顔してるよ。
あ、怖い?」
気を使う先輩に、勢いよく首を振る。
先輩相手に、敵相手に弱点なんかさらせない。
そんな思いから必死に首を振った。
けど、言葉とは裏腹に、膝の上で握り締めた手が小さく震える。
大体、図書室のある場所がいけない。
北側にあるB校舎の一番東。
昼間なのに、いまいち日当たりが悪いし、そのくせムダに広いし。
薄暗くて広くて古いとか、ホント最悪な造り……。