恋の罠 *- 先輩の甘い誘惑 -*



あたしは、弱みなんか見せられない!って、怖いとすら言えなかったのに……。

なのに、先輩はあたしのためにわざわざそんな下手に出て……?


「……別に、いいですけど」


唇をきゅっと結びながら言うと、先輩がもう一度微笑んだ。


「ありがとう」


先輩の嘘と同じように、あたしの強がりなんかバレバレなのに。

それに気づかないような先輩じゃないのに……。


待っても待っても、いつものイヤミは返ってこなかった。


あたしに“怖い”とか言っちゃっていいの?

あとであたしが言いふらしたりしたら、先輩の株なんか大暴落なのにいいの?


勝負に拘って意地張ってるあたしなんか、ほっとけばいいのに、なんで……?







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