恋の罠 *- 先輩の甘い誘惑 -*


「朱莉、いつも一緒にいる男と付き合ってるの?

こないだも楽しそうに演劇してたけど」


先輩が話し掛けてきたのは、少ししてから。

多分、あたしが落ち着くのを見計らってたんだと思うけど。


「山岸の事? 付き合ってないですよ。仲のいい友達です」

「そう。最近知ったけど、その山岸くん、3年の女子にも人気があるらしいね。

あの時はあんな事言っちゃったけど、明るくてよさそうな子だよね」


いつかの出来事を思い出したのか、先輩が笑みを浮かべた時、昼休みが終わるチャイムが鳴った。


チャイムの音を聞いて、慌てて先輩を振り向いた。


「あの……、すみません。あたしの友達のせいで授業……」


生徒会長なんか務めてるぐらいだし、きっと、授業をサボった事なんてないハズ。

言葉のまんまの『優等生』のハズ。

そんな先輩をサボらせるのは、さすがに罪悪感。


……自分のせいじゃないけど。




< 93 / 364 >

この作品をシェア

pagetop