恋の罠 *- 先輩の甘い誘惑 -*
「朱莉、いつも一緒にいる男と付き合ってるの?
こないだも楽しそうに演劇してたけど」
先輩が話し掛けてきたのは、少ししてから。
多分、あたしが落ち着くのを見計らってたんだと思うけど。
「山岸の事? 付き合ってないですよ。仲のいい友達です」
「そう。最近知ったけど、その山岸くん、3年の女子にも人気があるらしいね。
あの時はあんな事言っちゃったけど、明るくてよさそうな子だよね」
いつかの出来事を思い出したのか、先輩が笑みを浮かべた時、昼休みが終わるチャイムが鳴った。
チャイムの音を聞いて、慌てて先輩を振り向いた。
「あの……、すみません。あたしの友達のせいで授業……」
生徒会長なんか務めてるぐらいだし、きっと、授業をサボった事なんてないハズ。
言葉のまんまの『優等生』のハズ。
そんな先輩をサボらせるのは、さすがに罪悪感。
……自分のせいじゃないけど。