恋の罠 *- 先輩の甘い誘惑 -*
しばらくして、ゆっくりと先輩の唇が離れる。
それが分かっても動けないでいるあたしを、先輩が覗き込んだ。
「朱莉?」
“どうかした?”ってニュアンスで聞いてきた先輩にハっとして、右手で口を覆う。
左手も動かそうとして……、でも、まだ先輩に握られたままだって事に気付いた。
「い、今、何したの……?」
何されたかなんて分かってたけど……。
だけど、あまりの突然の出来事に頭が追いつかない。
今の出来事が夢だとか幻だったとは思えないけど、でも……、信じられない。
動揺しているあたしを見て、先輩が首を傾げる。
そして、いつものように余裕の顔して答えた。
「何って…キスだけど?」
「……なんで、したの?」