恋の罠 *- 先輩の甘い誘惑 -*
「なんでって、昨日言っただろ? 今度からグロスはつけてこないようにって。
昨日した約束を守ったんだけど」
“それ以外に何かある?”とでも言いたそうな先輩の言葉を聞いて、元々熱を持っていた顔がカっと熱くなる。
バっと、先輩に握られた手を振り解いた。
「朱莉?」
いきなり振り解かれた手を見て、先輩が不思議そうにあたしを呼ぶ。
先輩には、あたしが怒った理由が分からないみたいだった。
気に入らなかったのは……、先輩の返事。
だって、約束だからキスしたみたいな返事、ありえない。
そんなの……、まるで、先輩の意志なんかそこにないみたいじゃない。
あたしに対しての気持ちなんか、ないみたいじゃない……っ。
それが気に入らなくて、頭にきた。