【短編】キスして
家に帰りベッドに放り投げされた携帯を開く。
ディスプレイには受信メール1件の文字。
そのメールを開くと私の顔は一瞬にして笑顔へ変わる。


[明日、朝迎えに行くから。]
この短いメールの差出人は亮だ。
短いけど私にとって亮から来た大切なメール。

[ありがと、待ってる!]
嬉しさのあまり素早く返事を返して携帯を閉じた。

久しぶりに亮と学校に行けるな。
最近、亮とは一緒に学校行っていなかったもんね。
明日が楽しみだな。

その日はそればかり考えてあまり眠れなかった。

朝、いつもよりも目覚めが良くベッドの横に置かれている時計を見ると時間は5時。
嬉しい日には早くに目が覚める。
まるで遠足に行く幼稚園児の様だな、私って。

今日は二度寝する事なく朝食を食べ学校に行く準備をした。
早く亮が来ないかな。
携帯で時間を確認するともう8時になりそうだった。
もう亮が来ても良い頃だ。

-ピンポーン
タイミング良くなるチャイム。


「有紗、亮くんが迎えに来てくれたわよ!」


お母さんの声を聞き玄関へと急いだ。


「有紗ちゃん、おはよう!」

「おはよ!」


朝からら見る亮の笑顔は、いつもと違って爽やかに見える。
そんな亮に見とれながらも学校へと行く。


「亮、今日の放課後は暇?」


最近、亮とは帰りにどこも寄ってない。
寂しかったんだよ?
だから誘ってみたんだ。


「あ、ゴメン。今日は、ちょっと・・・」


申し訳なさそうに謝る亮を見てチクリと胸が痛んだ。
何か用事があるのかな・・・?



「そっか・・・残念だな。」
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