こうして未来は繋がっていく―黒猫シロと僕―[完]
<シロは、おかあさんになりました。
さんひきのかわいいこねこがうまれました。
ぼくが、おんなのこにそのことをおしえてあげると、おんなのこは、「おかあさんにかっていいかきいてみる」とうれしそうにかえっていきました。>
――
それから更に2年が過ぎた頃、シロは三匹の子猫を産んだ。
香澄は最近、あまり遊びに来なくなっていた。
シロもいたりいなかったり、うちの母さんも少しだけパートを始めて家にいなくなった。
学校で香澄に会ったとき、「香澄、シロが子猫産んだぞ」と教えてやると、キラキラと目を輝かせて、「大ちゃん、今日遊びに行っていい??」そう聞いてきて。
「しょうがねえな」と返事をして友達の輪に戻っていく。
その日の放課後、香澄は家に遊びに来た。
もう高学年になっていて、香澄とも自然に距離を置いていた。
香澄とまともに向かい合うのは、随分久しぶりだ。
「ふわぁー、かわいいーー」
香澄は目じりを下げて、ニコニコと笑っている。
「チビちゃんたち、今何ヶ月?」
「もうすぐ一ヶ月かな?」
「飼いたいな…」
もうすみれも幼稚園に行っているし、前とは状況が違う。
「ねえ、大ちゃん。お母さんがいいって言ったら一匹くれる?」
真剣な表情で、香澄に見つめられ、思わず心臓がドキドキした。
「いいよ」
ドキドキしているのがばれないように、そっけなく返事をすると、「ありがとう!」と香澄は笑顔で帰っていった―――。