こうして未来は繋がっていく―黒猫シロと僕―[完]
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夕方、何だか顔の辺りがくすぐったくて目を覚ました。
シロが、顔の辺りに擦り寄ってきたんだと思って手を伸ばしても、シロはいない。
「ん…?」
体を起こしてみて見ると、シロはまだ前と同じ位置で眠っていた。
「何だ、夢か…」
そう呟いて、シロを撫でる。
ほのかな温もりを残したまま、シロは永遠の眠りについていた。
「シロ…?」
声が震える。
にわかには信じられなくて、思考が追いつかない。
そんな俺の状態に気づいた家族が寄ってきて、シロを見る。
母親は涙を流してシロを撫でて。
父親も涙をこぼさないように上を向いて。
香澄もやってきてシロの事を伝えると、その事実を確かめる。
「大ちゃん…シロ、幸せだったよね…」
ぼろぼろ涙をこぼしながら聞いてくる。
「…ああ、きっと」
そう返事を返し、香澄を抱きしめて、俺も泣いた―――…