こうして未来は繋がっていく―黒猫シロと僕―[完]
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今日は俺の誕生日だ。
明日はシロの一周忌。
香澄がくるのは多分7時過ぎ。
いつもそれ位の時間だから、と予想してキッチンに立つ。
今日買ってきた物はポケットの中に隠して。
明日も週休だから、香澄と一緒に実家にシロの好物を持っていこう。
あの時生まれた三匹のうち、一匹は香澄のうちの「ソックス(オス)」、もう一匹は大志のうちへ。残りの一匹、シロにそっくりな真っ黒で、左後ろ足の先だけ白いメス猫は「ユキ」と名づけられて、実家にいる。
今日のメニューは、夏野菜たっぷりカレー。
香澄は俺が作ったカレーが何故か大好きで。
二人で良くキッチンにたって料理をする。
時間が合わないことも多いから、少しの時間でも大事にしたい。
ふと時計を見ると、もうすぐ7時。
料理は出来上がり、一息つこうとソファーに座る。
「…どうやって渡すかな」
そうひとり呟いて、ポケットに隠しておいた物を出して、ふたを開ける。
そこには、キラキラと輝くサファイアのついた、指輪が入っていた。
普通、婚約指輪と言えば、ダイヤかも知れないけど、あえてこの石にした。
シロの瞳と同じ青い石。
給料3か月分には及ばないけれど、俺の今できる精一杯。