こうして未来は繋がっていく―黒猫シロと僕―[完]
そこで、一回大きく深呼吸して。香澄の目をじっと見る。
「香澄、それでも、俺と結婚してくれるか?」
香澄は一回目をぎゅっと瞑って、ふうと息を吐く。
そして。
「そんなの、分かってる。大ちゃんが消防士になったときから。私の覚悟を見くびらないで? その時には、私が皆を守るよ」
今までに見たこともない、綺麗な笑顔だった。
俺の目からも一筋涙がこぼれる。
「……、なさけねー。でも、マジでうれし…」
そう言って香澄をぎゅっと抱きしめて、香澄の肩に顔を埋める。
そっと頭を撫でてくれる香澄の左手を捕まえて、指輪を通す。
「これからも、よろしく…」
そう言って、香澄の首筋にそっとキスをする。
ふふっとくすぐったそうに笑った香澄は、「こちらこそ。私の未来の旦那様」と俺の髪にキスをした。