こうして未来は繋がっていく―黒猫シロと僕―[完]
香澄が頷いたのを確認して、箱を開けてみる。
そこには、消防士になった時からずっと欲しかった腕時計が入っていた。
「マジで??何でこれ…」
思わず目を見開くと、「欲しかったんでしょ?」と微笑む香澄の姿が。
「ちょっとずつお金貯めてたから、今になったけど。喜んでくれてよかった」
香澄を、思いっきり抱きしめて、「ありがとう、これからも香澄だけだ…」そう囁くと。
耳まで真っ赤になった香澄がいて。
「…私も大ちゃんだけだよ」
そんな可愛いことをいってくれる。
―――ああもう、なんて幸せな日なんだろう。
その後、そのままベッドに…と言いたいところだったけど、二人とも空腹には勝てず。
甘い空気を残したまま、ダイニングテーブルを囲む。
さっき作っておいた料理を並べて、手を合わせる。
「いただきます」
カレーを口に運べば、香澄は笑顔になって。
「やっぱり、大ちゃんのカレーが一番だね」
「そっか」
「明日は、シロのお墓参りに行こうね」
「そうだな。ユキにも会いたいな…」
「うん。きっと待ってるよ。絵本も持っていかなくちゃ」
「皆、喜ぶさ」