こうして未来は繋がっていく―黒猫シロと僕―[完]
<ぼくが、おんなのこに「どうしたの?」ときくと、おんなのこは木の上をゆびさします。
木の上には、まっくろなこねこがいました。
こねこは、木からおりれなくなっていて、みぃみぃとないています。>
――
香澄が指差したほうを見ると、木の上には真っ黒な子猫が木の枝にしがみついていた。
野良犬にでも追いかけられて、登ったはいいが降りれなくなったのだろう。
「あの子猫、降りれなくなったんだ?」
そう香澄に問いかけると、うんうんと頷く。
「かすみね、木登り得意じゃないし、この木、足をかけるところがないの」
香澄は運動全般得意じゃない。
どちらかというと、室内で絵を描いたり、本を読んだりといったタイプだ。
香澄の言うとおり、その木には足をかけるところがなくて、運動が得意な俺でもどうしようもない感じだった。