ちぐはぐ
不運は連鎖する
「店長。どーゆうことですか!」
まだ25歳のオレは、二ヶ月前に円形脱毛になり、十円玉程のハゲ範囲を、更に広げようとしている恐ろしい出来事が起こった。
「……だから、お前の奥さんに給料渡しておいたよ」
22歳で居酒屋を経営している黒短髪の体格のいい店長が、何も考えてなさそうな軽い口調で言う。
奥さん、奥さん……頭の中をぐるぐるとその言葉が駆け巡り、店長の最後の言葉はあまりにも残酷すぎて逃避行状態になり、頭痛と吐き気が急速に増してその場にオレの身体は崩れ落ちようとした。
冷たい床に顔面ごといって、否、頭を強打して一層のことあの世へ逝ってしまった方が救われたのかもしれない。
なのに店長は、がっちりとした太い腕でオレの身体を支え、大丈夫か?…と心配そうな瞳で言ってくる。
いつも明るく元気で笑顔で接客する優しい店長は、お客のウケがいい。
店長目当ての女性客も多い。
勿論、オレ目当ての客だって男女問わずいる。
オレ―――
顔しかいいとこないのかも
まだ25歳のオレは、二ヶ月前に円形脱毛になり、十円玉程のハゲ範囲を、更に広げようとしている恐ろしい出来事が起こった。
「……だから、お前の奥さんに給料渡しておいたよ」
22歳で居酒屋を経営している黒短髪の体格のいい店長が、何も考えてなさそうな軽い口調で言う。
奥さん、奥さん……頭の中をぐるぐるとその言葉が駆け巡り、店長の最後の言葉はあまりにも残酷すぎて逃避行状態になり、頭痛と吐き気が急速に増してその場にオレの身体は崩れ落ちようとした。
冷たい床に顔面ごといって、否、頭を強打して一層のことあの世へ逝ってしまった方が救われたのかもしれない。
なのに店長は、がっちりとした太い腕でオレの身体を支え、大丈夫か?…と心配そうな瞳で言ってくる。
いつも明るく元気で笑顔で接客する優しい店長は、お客のウケがいい。
店長目当ての女性客も多い。
勿論、オレ目当ての客だって男女問わずいる。
オレ―――
顔しかいいとこないのかも