妖温泉へようこそ!
妖狐伊奈理
妖狐伊奈理 1
街灯の照らす夜道で僕は必死に走っていた、後ろから来るナニカを意識しないように…そして逃げるように。
今日は僕の誕生日で普段は家から誕生日には出歩くなと厳命されていた、でも今年高校に入ってから、父さんの言う事を無視して友達に呼ばれた誕生会に出た。
「それが…なんでこんなファンタジーな展開に…!はぁっ…ああもう!」
誕生会は家から出るなと言うのは今は亡き母の遺言らしい、理由は言ってくれないが絶対に守れと言われていた。
親に反発したくなると言うか僕も荒れてたのかも知れない、友達と誕生日を祝うことも出来ずに早16年、というか実家が温泉だからか友達が遠慮して僕の家に来ないのだ。
歯噛みしながら現実逃避をして走って居たがそれも長くは続かなかった、体力の限界で足が震える、何メートル走っただろうか?体力の無い僕だ、恐らく1キロメートルも進んでないと思う。
そんな事を思いながら後ろを振り返ってしまう、それが間違いだった。