Burn one's boats
背水の陣

時は魔法の存在する戦国時代。
場所は――よく分からない。

後は任せろ、なんてカッコイイ台詞があるけど、それってただのカッコ付けではないだろうか。
少なくとも、僕はそう思っている。

眼前に数多の敵。
後ろには、僕たちが逃げられるようにと用意された小さな手漕ぎ船。
そして、ずっと下の方から激しい波の音が聞こえてくる。

つまり――僕たちは今、崖っぷちまで敵に追い詰められていたのだ。

隣の相棒が「後はおれたちに任せろ!」なんて言って、味方を全て逃がしてしまった。
そこからのノープランね。全く呆れるよ。

相棒は長剣を片手に、何やら涼しい顔をしている。
どこか違う方向を見てフッと息を吐き、一言。

「……賽は投げられた」

あの、全然カッコよくないんですけど。
このままだと、確実に僕たち死ぬんですけど。

< 1 / 12 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop