Burn one's boats
背水の陣
時は魔法の存在する戦国時代。
場所は――よく分からない。
後は任せろ、なんてカッコイイ台詞があるけど、それってただのカッコ付けではないだろうか。
少なくとも、僕はそう思っている。
眼前に数多の敵。
後ろには、僕たちが逃げられるようにと用意された小さな手漕ぎ船。
そして、ずっと下の方から激しい波の音が聞こえてくる。
つまり――僕たちは今、崖っぷちまで敵に追い詰められていたのだ。
隣の相棒が「後はおれたちに任せろ!」なんて言って、味方を全て逃がしてしまった。
そこからのノープランね。全く呆れるよ。
相棒は長剣を片手に、何やら涼しい顔をしている。
どこか違う方向を見てフッと息を吐き、一言。
「……賽は投げられた」
あの、全然カッコよくないんですけど。
このままだと、確実に僕たち死ぬんですけど。
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