Burn one's boats

「周り一面には崖、目の前には敵。火サスの犯人も、こんな気分だったんだろうな」

「この状況で、よくそんな悠長なこと言えるな!」

ツッコミを入れるも、彼は息を吐いただけだった。

「あの刑事に追い詰められた犯人は、最終的に自らの罪を認める。
それでもおれは……おれは、抗いたいんだ!!」

「はいはい」

「踏ん張って、捕まるまで抵抗して……それで捕まったら自害して……」

「はいはい」

心底、どうでもいい。
僕、そこらへんの事にそんなに興味ないから。

いざとなれば、葵を見捨てて逃げてしまおうか。
あ、でもボートは燃やしちゃったんだった……

敵軍の盛り上がりは、最高潮に達していた。

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