Burn one's boats
*
テレビ画面に浮かぶ、『Game Clear』の文字。
僕たちの長い戦いは、ようやく終わった。
「お前もう少し手加減しろよなー」
大きな溜め息をつき、隣に座っていた葵がコントローラーを投げ出した。
そして、大きく伸びをする。
「だって、早くしないといけないじゃん! 明日テストだよ?」
「だからお前を呼んでな――」
「一緒にテスト勉強かと思えば、ゲームのお誘い。赤点取るよ」
もう知らないよ。
テストに関して開き直ってるのかな。
だとしたら、だいぶ危ない。
「薫は大丈夫そうだもんな」
「うん。葵と同じヘマはしない」
少なくとも、赤点取りすぎて、先生に呼び出されるなんて真似は。
その時、いきなり部屋のドアが開いた。
「どう? 捗って――」
ジュースとお菓子を持ってきてくれた、葵のお母さんが固まった。