Burn one's boats
「バカおっしゃい! 薫くんがそんなこと言うわけないでしょう!」
さすが葵のお母さん。
小さくほくそ笑み、葵を見る。
彼は困ったように僕の方を見ていた。
「ねぇ葵、これこそ背水の陣を敷くべきだよ」
「どうやって?」
「そりゃあ、お母さんを言葉でねじ伏せるしか無いんじゃないの?」
小声で提案すれば、葵は納得したように頷く。
そして、続きを促してきた。
「まずは、逃げ道を絶たなきゃ」
「どうやって?」
「参考書を投げ捨て、ゲームを全面に押し出す」