好きみたい。
「うるさいなぁ…。誰お前。」
女子が私をギロッと睨む。
あ、失敗したなこれ。
黒瀬様という人の顔は整っていて…
イケメン!
人気者なのもわかる。
じゃなくて、
私はその人の目の前に立っている。
なぜって?
そこは私の席だから堂々と仁王立ちして…
「こ、この席はっ、わ、私の席ですっ。」
「…。知ってる。だから?」
「なので、どいてくれませんか?」
必死の覚悟で声を出してみたけれど、
何この静けさ。
女子の視線が痛いほど刺さる。
「嫌だ。俺ここがいい。」
「…は?」
「交換しようよ、俺の席と。」
「嫌です。」
黒瀬という男は、
とんでもない、自己中だった。