なんくるないさぁ

地獄から天国そしてまた地獄へ

病気と闘って一年位が経ち、だいぶ症状が落ち着いた頃、彼氏ができた。一年位ほとんど一人で過ごしていた私は地獄から天国に来たくらい幸せで浮かれていた。病気のことギャンブルの事、彼はすべての事を聞いても『一緒に治して行こう』とこんな私の事を受け入れてくれた。彼氏がアパートで一人暮らしだったので毎日泊まりに行っていた。二人の距離は急速に縮まりお互いの親にも会い、とんとん拍子に話が進み、結婚の日取りまで決まった。その後すぐに同棲を始めた。同棲生活はとても幸せだったのに不幸は突然にやってきた。彼氏の両親がアパートに来た。私は彼の両親から出た言葉に耳を疑った。『結婚の話は無かった事にして息子と別れてくれ。』結婚式の日取りを決めたのも彼の両親だったのに・・・。私はただただうつむいて泣いていた。結局その日のうちにアパートを出た。私はあまりにも精神的なショックが大きくてアパートから自宅にもどる車の中で気を失ってしまった。別れてから一週間後位だった。生理が遅れていたので念のためにと妊娠検査薬で検査してみるとなんと陽性反応つまり妊娠反応がでたのだ。急いで彼に連絡し翌日産婦人科に行き検査をした。やっぱり私のお腹の中には小さな命が宿っていた。でも私にはとても辛かった。彼と彼の両親は頼むから下ろしてくれと言われていたからだ。お腹の赤ちゃんのエコー写真を見せたら彼も考えてくれるだろうと期待していたのに写真を見せてもずっと無言のままだった。私は彼のその態度を見て下ろす事を決意した。今の状態でシングルマザーになる自信もなかった。すぐに中絶手術をする事になった。中絶手術の日がきた。悲しい事に七夕の日だった。付き添いは誰も居なくて凄い寂しくて怖かった。それよりも私のお腹にある命を私は今日殺してしまうんだと思ったら申し訳なくて涙が止まらなかった。やがて手術の時間になり手術室に向かった。目を覚ましたのは夕方近くだった。さっきまで私のお腹の中で生きていた赤ちゃんが今は居ない。また涙があふれてきた。ママが迎えにきて自宅に戻った。家に戻ってからもわたしは殺人犯だと自分を責め、泣き続けた。ホントに天国から地獄の底につき落とされた。もう立ち直れない本気でそう感じた。
私はすごい子供好きなので受けるショックは人一倍だったと思う。
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