triangle




二人っきりの教室で響く、シャーペンの動く音。

正紀とのことをいつ切り出されるのだろうか、とドキドキしていることにも少し疲れてきた。
それに、勉強に集中なんて出来ないし、もう結構前から飽きてしまっている。

でも、さっきからこっちをチラリとも見ずに机に向かってる咲奈の邪魔は出来ないし、どうしたものか。


……寝よう。


あたしはシャーペンを机に置き、教科書を閉じて、その上に両腕を枕代わりにして突っ伏した。

あ、あと数秒で夢の国だわ。


と、思った数秒後には本当眠りに入っていた気がする。

しかし、眠りが浅くなったところで、腕の違和感に起こされた。あー、痺れたわ。
そろそろ起きようかと、顔を上げた時、


「おはよう」


カシャッ!

聞き慣れた音と同時にフラッシュがたかれた。
そして、満足そうな笑顔を見せる咲奈に問いかける。


「………何やってんの、咲奈さん」

「寝起きの莉子ちゃんのレアショット頂きました」


携帯を構える咲奈の笑顔がいつもより少しだけ黒い。

小悪魔だっ!


「ちょっと、やだ!消してよ!」

「やーだよ!保存保存」

「あーもお!だめ!」





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