triangle
あたしは、咲奈に手を伸ばした。
抱きしめようとして、手を伸ばした。
「ちょっと、止めてよ」
でも、その手は、届かない。
「そんな真顔で。冗談に聞こえないじゃん」
そう言ってクスクス笑い出す。
咲奈の笑顔は大好きなのに、涙を誘う。
そんなあたしを見て、咲奈は驚いたような顔をして、笑うのを止めた。
「り、こ…?」
「好きだよ」
ずっと、ずっと、あなただけが。
「好きなの」
そして、あたしは初めて、咲奈の泣き顔を見た。