triangle
彼はあたしに、あたしは、あたしは…
彼、氏原正紀と。
あたし、清田莉子は、
オンボロでも高層でもない中途半端に汚く、家賃もそこそこのマンションに住んでいて、
彼は504号室。
あたしは505号室。
つまりはお隣さんであって、幼なじみである。
だから、
「じゃ、またな」
って、帰りに玄関を目の前にして別れるのはしょうがないことで、今更どってないことなのに。
「ま、また…」
気まずく思ってしまうなんて。
やっぱり、こないだの、
こないだの、あれのせいだ。