重なる身体と歪んだ恋情
空になったグラスに奏さんは自分でまた注いで。
それを眺めながら私もまたグラスに口をつけた。
「シャンパンと苺は相性がいいですよ」
そう言って目の前に運ばれる苺。
って、別に取ってもらわなくても自分で食べれるというか……。
「あーん」
「はい?」
「もっと大きく口を開けて」
「じっ、自分でたっ、ん!」
自分で食べれます。
そう言おうとしたのに私の口の中には大きな苺が放り込まれて。
少し咽る私を奏さんは「すみません」と言いながらも笑っていたり。
「でも、美味しいでしょう?」
確かに美味しいけれど。
素直にそう言えない私に奏さんはやっぱりクスリと笑った。