重なる身体と歪んだ恋情

「そうそう、週末の覚えてますか?」

「え? あ――」


大使館の晩餐会。

それに夫婦で出席しないといけない、らしい。


「ドレスは出来れば派手なものは控えて大人しいものを。あと、確認ですが英語は?」


話せるか? と言うことなんだと思う。

一応、


「学校では習いましたけど実際に通じるかどうかは……」


かなり怪しいと思う。

だから素直にそう言ったのだけど、


「分かりました。でしたら私の傍を離れないように。会の間はすべて英語ですので」


さらに、


「出来れば英語は話せるようになったほうがいいですよ。如月に相手をさせましょう」


なんて言われてしまった。

如月は彼の仕事を手伝ってたと言ってたし多分話せるんだと思う。

英語。

苦手ではなかったけれど得意とは言いがたい科目で。

とりあえず手の中にあるグラスの液体を全部飲み干して小さくため息を付いた。
< 103 / 396 >

この作品をシェア

pagetop