重なる身体と歪んだ恋情
外国人の接待はこういった料亭が好まれる。

勿論、日本食が合えばの話。

思った以上に刺身や寿司に興味のある外国人は多く、さらには芸者には飛びつくように興味があるらしい。


「日本人は紙で出来た家に住んでると聞きましたが、思った以上に近代化が進んでいるようで」


とか、


「ところでサムライはどこに? 一度セップクを見てみたい」


なんて口にする外国人も珍しくない。

海外から見れば日本は原始人となんら変わりは無いのだろう。

未だにニンジャがいると信じている彼らには日本風情が漂う料亭は好奇心をそれなりに満足する場所になる。

当然、日本人は野蛮な種族だと信じてる輩にはこんなところに連れて来ても無意味なので横浜の適当なレストランで商談ということも多いが。


「サシミ、思っていたより美味しいですね」


今日の客にはここ(葛城)が合っていたようだ。

その証拠にひとつの商談が纏まった。
< 108 / 396 >

この作品をシェア

pagetop