重なる身体と歪んだ恋情
その後散々犯して弄んで。

それでも嬉しそうに涎をたらす佐和子の姿にいい加減嫌気が差した頃、窓の外が白けてきて。


「それで話の内容は?」


髪を掴みあげてそう聞けば、少し痛そうな顔をして、


「ぁ、生糸がどうとか……、これから鉄は儲かるから投資しないかって」


消え入るような声でそう言った。

なるほど。

生糸に鉄ね。

連合国の戦争でいろんな物資が足りないとは聞いていたが、そのことか?

鉄と言うことは八幡製鉄以外にも製鉄所が出来るとか?

そうなれば鉄鉱石の輸入が必須で……。

これ以上のことは佐和子も知らないだろう。

少しそのあたりを緑川に調べさせるか。


手を離すとゴトリと床に落ちる佐和子の頭。


「佐和子」


そう呼べば潤んだ視線だけ私に向ける。


「次からは素直にね。そうすればもっと可愛がってあげますよ」


ニコリと微笑めば佐和子はコクリと頷いてそのまま目を閉じた。
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