重なる身体と歪んだ恋情
「おはようございます、社長」
言われた時間きっちりに迎えに来る緑川。
しかも顔色ひとつ変えず。
苦言のひとつも言わないのは如月より楽だが、すこし物足りないのも事実。
こんな男でも妻と子供がいるのだから世の中不思議に溢れてる。
「鉄の動向を探ってください。もしかしたら大きな事業が立ち上がるかもです。あと軍の動向も」
車の中でそういえば緑川は「はい」とだけ答え車を動かした。
先の戦争で賠償金をに味をしめたこの国はどこまで軍国主義で行くつもりなのか。
それでも先進国に追いつくには軍備拡大のため重工業を盛んにするしかない。
けれどこの国にそんな資源はない。
すべてが輸入ですべて他国に頼らないといけない状況でどれほど国力を挙げることが出来るのか。
いつか、痛いしっぺ返しがきそうだな……。
だとしても、今は上昇気流に乗ってるのも確か。
それに乗らない手は無い。
投資を惜しまず見返りを期待しようじゃないか。