重なる身体と歪んだ恋情

「こう、気分が高揚するようなお茶ってないかしら?」


夕暮れ。

もう帰る時間なのにまだ花壇に居る郁を見つけてそういえば、彼は困ったように笑った。


「無いわけじゃないですけど」

「本当?」

「はい、でもお茶じゃなくてアヘンです」

「アヘン?」


聞いたことがあるような、無いような。


「麻薬です」


首を傾げる私の後ろから声を掛けたのは如月で。


「郁、口を慎むように」


その声に郁はいたずらっ子のように「はい」と首をすくめた。


「千紗様、そろそろお着替えを。奏様もじき帰られますので」


なんて声に私の気分は益々堕ちていった。
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