重なる身体と歪んだ恋情
いつもの部屋で待たされて用意されたワインを飲む。

日本酒も悪くないが色や香りを楽しむなら当然ワインだ。

それにしてもイライラが治まらない。

どうしてあんな両親から馬鹿な息子が生まれるのか。

馬鹿な兄を持つと妹は不憫だ。

私のような男に嫁がなければいけないのだから……。

そしてこのことを知ったら彼女はどう思うのだろうか?

そんなことを降り続く雨を見ながら考えて、1時間ほど経つと、


「失礼します」


お得意様が帰ったのだろう、佐和子が部屋に戻ってきた。


「今日は早いのですね」


いつもならもう少し時間がかかるはずなのに。

そういうと、


「……だって、帰ってしまうかと思って」


なんて可愛い台詞を口にする。


「おいで、佐和子」


私の声に逆らおうともせず近づいてくる佐和子。

きっと誰も知らないだろう。


「あ」

「帯がきついんじゃないか?」


不意に零れる声が、彼女に似てることを。

帯を解いていく私の手に逆らうはずも無く佐和子は私に身をゆだねる。

解いた帯締めで、


「え? 奏様!?」


彼女の両手を後ろ手に縛った。

長襦袢から胸だけを露にさせてその先端を弾くと簡単に甘い声が漏れる。


「おや、もうそんなに感じてるだなんて。もしや仕事中もいやらしいことを考えていたのでは?」

「――っ」


そんな私の台詞に赤い顔を逸らして。

だから、


「私を見なさい、佐和子」

「あぁっ!」


突き出した胸の先端を力任せに捻り上げた。

あぁ、彼女もこんな声を上げるんだろうか?

ほんの少し潤んだ瞳で私を見つめる佐和子。

違う。

彼女はこんな目で私を見たりはしないだろう。

だから、


「やっ、やめ」

「五月蝿いですよ」


帯締めで彼女に目隠しを。

そしてそっと指を身体に沿わせて胸から下に。


「あぁ……」


触ってといわんばかりに胸を突き出し両足を擦り合わせて私を誘う。


「とりあえず、何回イけるか試してみますか?」


そう言って彼女の中心に指を捻りこんだ。




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