重なる身体と歪んだ恋情

「……」


さっきまで寝ていたから全然眠くない。

だけど体は気だるくて起き上がる気にもなれない。

今日は結婚式で今夜は初夜で。

色々と考えてた昨日はなんだったんだろう。

こんなにも呆気なく一日が過ぎていく。

今日はとても大切な一日になるはずだったのに――。


「お風呂……」


入ろうかな。

お腹も落ち着いてきたし、お風呂に入ってすっきりしたら眠れるかも。

そう考えて私は体を起こした。

ドアをそっと開けて、


「……」


もしかしたら居るかも、そう思ったけれど小雪の姿が見えなくてホッとした。

お風呂は1階。

なんとなく人の気配を気にしながら階段を下りる。

だけど幸い誰にも会うことなくお風呂場につくことができた。

似合いもしない服を脱いでドアを引く。

そこには湯気に煙る大きなお風呂場があった。

桜井家のお風呂場もそんなに狭いわけじゃないけれど、檜のお風呂はそれはいい香りがする。

ここのお風呂は全然違ってタイルを使ったもので、檜の香りの変わりにしゃぼんの香りが立ち込めてた。
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