重なる身体と歪んだ恋情
それは勿論2階からで。見上げれば、


「あぁ、司か」


乱れた身なりもそのままに奏が2階から見下ろしていた。


「……奏」

「弥生でも良かったんだが君でもいいよ。上がって来てくれないか?」

「……」


彼の声に返事も動くことも出来ない私に奏は力なくフッと笑った。


「別に一緒に千紗を楽しもうなんて言わないし」

「なっ、何を馬鹿なことを!」

「そんな趣味、私もないよ」

「……」

「千紗が怪我をしたんだ」

「怪我!?」


驚く私に奏は「あぁ、違うか」と笑う。


「私が傷つけた。処置をしてくれないか?」

「……」


薄暗い階段での話。

湧き上がる感情は千紗様付の使用人としてのものなのか、それ以上のものなのか。

けれど私は、


「畏まりました」


ギリッと両手を握り締めて頭を下げた。
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