重なる身体と歪んだ恋情
足先からゆっくりと湯船に。
その湯加減は申し分ない。
いつ誰が入ってもいいよう、常にこの湯を保ってるのかしら?
なんて、
「無駄なの……?」
小さく呟いたはずなのに私の声は大きく響いて少し驚いてしまった。
でも、このお風呂は嫌いじゃない。
檜もお風呂も捨てがたいけど、足が十分に伸ばせるこのお風呂もいい。
そうね、この家の中ではここが一番好きかもしれない。
誰も干渉してこなくてひとりになれて、ゆっくりとお湯に浸かることができて。
吐く息に湯面が揺れる。
気持ちいい。
浴槽の縁に頭を預けて目を閉じる。
あぁ、このまま眠ってしまいそう。
でもダメ。
こんなところで寝てしまっては風邪を引くわ。
なにより、こんな姿を人に見られるなんて想像するだけでも最悪すぎる。
全身脱力しながらそんなことを考えていると、
ガラッ
「――ひっ!」
いきなり扉が開かれて、
文字通り私は飛び跳ねた。