重なる身体と歪んだ恋情
翌日、いつもと変わらない時間に、
「千紗様、おはようございます」
彼女の部屋の前に立った。
奏はもう家を出た後だが、すべていつもどおりの朝を演じる。
かすかに聞こえる衣擦れの音。
目は覚まされたのだろう。
だからもう一度ノックをして「千紗様」と名前を呼ぶ。
すると、
「入って、来ないで……」
かすれてはいるがやっと彼女の声が聞けた。
だから、
「失礼します」
ドアを開ける。彼女はシーツに包まったまま私に背を向けた状態で。
それでも「出て行って」とは言われなかった。
「千紗様、朝食はいかがいたしましょう」
「……いらないわ」
「新しいハーブティをご用意しております。もうじきマフィンも焼きあがる頃かと」
「……」
「千紗様、小雪を呼んで参りますので下まで降りてらしてください」
そう伝えて彼女の部屋を出た。
小雪に彼女の着替えを手伝うように伝えて私は厨房へ。
彼女のためにハーブティーを入れ、マフィンの焼き具合を確認する。
お店のものとは比べ物にはならないかもしれないがそれなりのものには出来上がってるはずだ。
それから郁の育てた紫陽花をテーブルに飾って、
「おはようございます、千紗様」
やっといらした千紗様にいつものように挨拶をした。
「千紗様、おはようございます」
彼女の部屋の前に立った。
奏はもう家を出た後だが、すべていつもどおりの朝を演じる。
かすかに聞こえる衣擦れの音。
目は覚まされたのだろう。
だからもう一度ノックをして「千紗様」と名前を呼ぶ。
すると、
「入って、来ないで……」
かすれてはいるがやっと彼女の声が聞けた。
だから、
「失礼します」
ドアを開ける。彼女はシーツに包まったまま私に背を向けた状態で。
それでも「出て行って」とは言われなかった。
「千紗様、朝食はいかがいたしましょう」
「……いらないわ」
「新しいハーブティをご用意しております。もうじきマフィンも焼きあがる頃かと」
「……」
「千紗様、小雪を呼んで参りますので下まで降りてらしてください」
そう伝えて彼女の部屋を出た。
小雪に彼女の着替えを手伝うように伝えて私は厨房へ。
彼女のためにハーブティーを入れ、マフィンの焼き具合を確認する。
お店のものとは比べ物にはならないかもしれないがそれなりのものには出来上がってるはずだ。
それから郁の育てた紫陽花をテーブルに飾って、
「おはようございます、千紗様」
やっといらした千紗様にいつものように挨拶をした。