重なる身体と歪んだ恋情
「奏さんのところにはもう行ったの?」
「あ、いまから」
「まぁ、旦那様より私のところに来る人がありますか!」
そう言われて私は彼女の病室を追い出されて。
それから彼の病室へ足を進めた。
ノックをすると「どうぞ」と彼の声。
開けると如月もいて。
「え? その格好……」
奏さんはスーツを着てベッドには横たわっていなくて。
「いつまでも寝ているわけにはいきませんから」
「本当は入院が一番なのですが仕方ありません」
二人の声に私も微笑む。
「それでは退院の手続きをしてきますので」
そういって如月はいなくなってしまったから二人きり。
「本当に、大丈夫なのですか?」
「えぇ、足は痛いですが歩くくらいは出来ますし、っと」
そういいつつもよろける奏さん。
だから傍に行って、彼の右手を取った。
その手には包帯が巻かれて……。
「熱かった、でしょう?」