重なる身体と歪んだ恋情
「愛してますよ」
正直に答えたのに、彼女の顔は晴れたりしない。
そして、
「もっと、私を愛して――」
そう言うだけで、彼女は私を愛してるとは言ってくれないのだ。
それが分かっていても、
「えぇ、誰よりも――」
愛してますと私は伝える。
彼女が私を受けいれるのは右手の刻印があるから。
その刻印はきっと永遠に彼女を苛み続けるだろう。
そしてそれを彼女は恋情と勘違いするのだ。
そんな彼女を、
「愛してますよ」
私は傷つける。
体の奥底まで。
身体は重なるのに、
彼女が私にくれるのは、
歪んだ恋情――。
END――-