重なる身体と歪んだ恋情
彼女を抱きかかえたまま2階に。

弥生が彼女の部屋を開け足を踏み入れた。


「もう、下がっていいですよ」


その声に弥生は頭を下げ部屋からでて行く。

扉の閉まる音を聞いて、千紗をベッドの上に落とした。

はだける寝間着がなんともいやらしい。

けど、


「もう少し誘ってくれないと」


クスクス笑いながら彼女の濡れた髪を梳く。

赤い顔に赤い唇。

まるで何かを欲してるようにパクパクと開いて。


「お水、差し上げましょうか?」


勿論、この声に返事などない。

けれどそう声をかけて、水挿しからグラスに水を移した。

当然のように自力で飲めるはずもないから、口に含んで彼女に口付けを。

触れる唇は乾いてて。

本気でマズかったか?

苦い笑いを堪えながら彼女の唇に水を送る。

コクリと鳴る喉。

口の端から零れる水がなんとも言えない。


「もう少し差し上げましょう」


そしてまた口に水を含んで口づける。

今度は水を欲して延びてくる舌に可笑しさがこみ上げてきた。

数度、同じ様に口付けを繰り返し自分の口元を拭う。

彼女の頬を伝う水は唇で吸い上げて。


「おやすみなさい」


そう彼女に伝えて部屋を後にしようとして、
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