重なる身体と歪んだ恋情
夜は長い。
彼はワインを頼み本を読む。
その傍らで、私も本を開いた。
会話のない空間はどこか息苦しい。
「貴方も飲みますか?」
差し出されるワインはまるで血のように赤い。
それに私が首を振ると彼はフッと笑って、グラスのワインを飲み干した。
「今日は病院に?」
「はい。お祖母様のことが心配なのですが逆に心配されてしまいました」
私の声に彼は本を置き笑みを浮かべる。
「私も心配されてばかりです。緑川には早く帰れといわれるし、如月にも――」
「なんですか?」
途中で言葉を止めるからそう聞くと、彼は少し困ったように笑った。
「あなたのことを心配するようにと言われました」
「え?」
「でも、一人の方が落ち着くのであればそのようにします」
「……」
彼も、この空間に息をすることが難しいのかもれない。
そう思ったけれど、
「そんなことは、ないです」
誰かにいて欲しいと思うのも事実。
彼の手が私に伸びてくる。
「本当に?」
その手を受け入れて、私は目を閉じた。
彼はワインを頼み本を読む。
その傍らで、私も本を開いた。
会話のない空間はどこか息苦しい。
「貴方も飲みますか?」
差し出されるワインはまるで血のように赤い。
それに私が首を振ると彼はフッと笑って、グラスのワインを飲み干した。
「今日は病院に?」
「はい。お祖母様のことが心配なのですが逆に心配されてしまいました」
私の声に彼は本を置き笑みを浮かべる。
「私も心配されてばかりです。緑川には早く帰れといわれるし、如月にも――」
「なんですか?」
途中で言葉を止めるからそう聞くと、彼は少し困ったように笑った。
「あなたのことを心配するようにと言われました」
「え?」
「でも、一人の方が落ち着くのであればそのようにします」
「……」
彼も、この空間に息をすることが難しいのかもれない。
そう思ったけれど、
「そんなことは、ないです」
誰かにいて欲しいと思うのも事実。
彼の手が私に伸びてくる。
「本当に?」
その手を受け入れて、私は目を閉じた。