重なる身体と歪んだ恋情
この行為に、意味があるのか分からない。

けれど私は彼を受け入れる。

だってそれが償いだから。

そう言い聞かせながら、


「……あ」

「どうして欲しいか、言ってください」


肌を滑る彼の手に、私の体は意図も簡単に感じてしまう。

重なる唇に、何か意味があるのではないかと思ってしまう。


「もっと――」

「もっと?」


繋がる身体に、気持ちまで求めてしまいそうになる。


「欲しい……」

「いいですよ」


快楽だけに身をゆだねて、頭の中を真っ白にして、

すべてを忘れたフリをする。

そうしてる間だけ、

彼とは夫婦でいれる気がした。

だけど、この行為には意味があることを、

私は知ることになる。
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