重なる身体と歪んだ恋情
五月雨(さみだれ)

千紗


まだ、頭がクラクラする。

お風呂にはお湯はいっぱいあるのに喉が乾くなんて変な感じ。

そう思っていたのに。

指先に感じるのはお湯ではなくて……。

目を開けるとベッドの天蓋が見えた。


「どういう……?」


さっぱり理解できない。

窓からは明るい日差しが入り込む。

ゆっくりと気怠い体を起こすと私の体からすっと毛布が落ちた。

自分の姿を上から見れば、ちゃんと寝間着も着てる。

お風呂からどうやってここまで来たのかしら?

部屋まで戻った記憶も無ければ、寝間着を着た記憶もない。

だけど私は自分のベッドで寝てるし、服だって着てる。

そのままベッドを降りて寝間着から着物に。

あぁ、そういえば彼は洋服の方が好みだって言ってなかった?


「別に」


構わない。

だから、家から持ってきた着物に袖を通した。

見ればベッド脇にある水差しが減ってるし、グラスは濡れてる。

喉に手を当てて考えてみても答えは出ない。

でも、それほど喉が渇いて無いってことは無意識のうちに飲んだのかしら?


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