重なる身体と歪んだ恋情
「今はまだ、誰にでもあんな状態でして……」
ならばどうやって捺印させたのだろう?
そう思って奏さんを見たけれど、彼は何も言わなかった。
そして私もそれについては何も聞かない。
だって聞かないほうがいいことだって世の中にはあるのだから。
兄の有様は本当にかわいそうで、情けなかった。
けれど、私は心のどこかで『自業自得だ』と思っていたと思う。
そんな私を見透かして、兄は私を避けたのかもしれない。
そして、
兄はその日から3日後、また自殺を図った。
今度は首をつって。