重なる身体と歪んだ恋情
小さく息を吐いて、私も階段の手すりに手を置く。
ゆっくりと階段を下りながら考えるのは彼のこと。
考えてみれば結果的には私を助けてくれたわけで、それに対しては何も言うことが出来なかった。
多分、お礼を言うべきなのだけど……。
私の身体に異変は無い。
彼から見れば私は子供なのだろう。
だから、興味なんて――。
フルフルと頭を振ってまた階段を下り始める。
いいじゃない、それで。
別に望まれてお嫁に来たわけじゃない。
彼が欲しかったのは公家の血だけ。
いつかは仕方なく求められる日が来るのかもしれない。
愛情なんて欠片も無いのだろうけど……。